2月19日 正しい答えと優しい答え

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 2月もあっという間にあと10日となりました。1月29日と2月5日に何事もあきらめずに挑戦することの大切さ、努力をすることの美しさのお話をしたあと、いろいろな場面でみなさんのがんばる姿を見ることができました。
 今日のお話は、「学ぶ」ということを考えたお話です。
 校長先生が以前勤めていた学校の先生から聞いたお話です。
算数の割り算の学習をしていた時のことです。担任の先生が、「『10÷4』は、いくつになりますか?たとえば10個のお菓子を4人で分けるとどうなるでしょうか?」と問題を出したそうです。そうすると、一人の子が「2あまり2です。」と答えたそうです。すると先生は、「そうですね、答えは2あまり2ですね」と子供たちに説明しました。そうしたら、ある子供が手を上げてこう言ったそうです。
 「先生、違います。余りは出ません。」
 「どうしてですか。」と先生が再びたずねたら、その子はこう続けて言ったそうです。
 「僕の家では、10個のお菓子を、お父さんとお母さんが2個ずつ、ぼくと妹とで3個ずつに分けますから、余りは出ません。」
 この答えを聞いた先生は、思わずとてもやさしい気持ちになったそうです。算数の答えとしては「10÷4=2あまり2」があくまでも正解であって、余りが出ます。しかし、実際の生活の中では、この子が答えたように余りが出ないこともあるわけです。そして何よりその先生が感じたのは、その子の家庭の温かさであり、その子の柔らかい考え方だったと思います。
 「学ぶ」ということは、「正しい答え」をもとめることでもあります。たとえば「1+1=2」です。1リットルの水と1リットルの水を足せば2リットルになります。
 ところが、同じ「1+1」でも答えが2ではなく1になることもあります。水の温度が1度の水と1度の水を足しても2度の水にはなりません。あくまでも1度の水です。
 正しい答えが一つとは限らないことがこの世の中にはたくさんあります。見方・考え方を変えただけで、幾通りもの答えが出てくることもあります。それどころか「答えのないのも答えの一つ」(アメリカ大陸の先住民ホピ族の格言)ということもあります。また、「人と人との間に必要なのは、正しい答えではなく優しい答えである」とも言います。
 「学ぶ」ことによって正しい答えが出せると同時に、優しい答えも出せる人になって欲しいと思います。

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