全校朝会のお話

10月3日(月) 良い子ではなく

校長先生は何度もみなさんに、良い子になって欲しいわけではない、とお話ししました。あ、悪い子になって欲しいわけではないですよ。

皆さんになって欲しいのは、というより皆さんがならなければいけないのは、良い子、ではなく、善い人です。子と人の違いは何でしょうね。

良い子、というのは、子供の皆さんに大人の人が言ってくれる言葉です。皆さんがすることを善いか悪いかを大人が見て、大人が判断して、皆さんに教えてくれます。

例えば、教室の中に落ちているゴミを見つけました。そういうことはよくありますね。皆さんはどうしますか。どうもしなーい、と言う人と、拾います、という人がいます。どうもしなーい、という人は、まずゴミを拾える人になってください。面倒くさいことは、自分ではなく、いつも誰かにやってもらう、それは赤ちゃんです。小学生のお兄さん、お姉さんとしては、次の段階になってもらわなければなりません。

でもね。ゴミを拾いました。ゴミを拾って、先生、ゴミを拾いました、って言う人がいるでしょう。先生が「偉いね」って言ってくれるかもしれません。それは良い子です。悪い子ではありませんね。良い子です。ところで、良い子の皆さんは、先生がいないときはどうするのでしょう。誰にも誉めてもらえないときもゴミを拾えますか。

もし、誰も見ていないところで、ゴミを拾うことができる人がいたら、それは善い人です。誰も誉めてくれないけれど、教室にゴミがあるままにはしておけない、と考えることができる人です。誰かに誉めてもらうためではなく、自分がそうするのが正しいと考えたから、そう行動する。それが、人です。

みなさんは、10年くらいしたら、大人として自分で考えて行動し、生きていきます。そのときに何をどうするかを決めるのは自分です。誉めてくれるからこうしよう、誉めて貰えないからこうしよう、ではなく、誰が誉めてくれようとくれまいと、自分がこうするべきだと考えるから、こうする。そういう人になるのです。

自分がしたいことを何でもしていい、ということではありませんよ。大人になって、世の中に出るということは、必ず周りの人と一緒に生きていく、ということです。周りの人の気持ちを考えないで、したいことだけする。それは最初にお話しした、悪い子です。大人になっても悪いこのままでは恥ずかしい。

みなさんは誉めてくれる大人がいなくても、一人の人として、自分が何をするべきか、何をするのが正しいのかを考えて行動し、頑張ったときには自分で自分を誉めることができる、善い人になるのです。

そのために、今、小学校で間違いながら、失敗しながら自分の考えを育てているのです。まずは良い子でもいいでしょう。でも、目指すのは、善い人です。

10月10日(月)

ふたつお話をします。

一つ目は「怒る」という話です。
なにか嫌なことがあって怒る、ってよくありますよね。突然ぶたれたんだから怒って当然、怒るのを我慢するなんてできないよ、という人の話を聞きます。そうですねえ、ぶたれたら怒りますよね。

でも、我慢できないってほんとうですか。校長先生はお料理をすることがよくあります。校長先生の家のキッチンは狭いので、料理しているすぐ後ろに食器棚があります。食器棚を開けたまま、何かをとろうとかがんで起き上がった瞬間に、背中に何かががつーんと当たりました。「このやろうっ」って見ると、そこにはさっき自分が開けた食器棚の扉。えっと、と言って黙ってしまいます。そういうこと、ないですか。誰かが殴ったと思ったら、実は何かにぶつかっただけ。

もしかしたらこんなことがあるかもしれません。電車にのって背中に何かがどんってぶつかった。「このやろうっ!」って怒鳴りつけようとしたら、相手は自分よりずっと大きくて強くて怖そうな人。「えっと」って言って怒るのをやめてしまう。相手がライオンやオオカミのような猛獣だったとしても、きっと同じようになりますね。

そこでもう一度。嫌な思いをさせられたんだから、怒るのは我慢できない、って本当ですか。本当は、この人が相手だから怒ってもいい、この人が開いてでは怒れない、って決めているのではありませんか。

ぶったのか、蹴られたのか、ぶつかったのか、それは相手の人しか判りません。自分にわかるのは、なにかがぶつかったということだけで、どんな事情があってそうなったのかを自分で決めて、怒ることを決める前に、ちょっとお友達と話してみませんか。

怒ったまま一日中を過ごしたり、何日も嫌な思いをしたりするより、ずっとステキな毎日が過ごせると思います。

もう一つ、お話をするつもりでしたが、忘れてしまいました。いつも言うように、人にはそれぞれ得意と不得意があります。校長先生は、物事を覚えているのが苦手です。すぐに忘れてしまいます。校長先生も、小学生の頃はいつも忘れ物をしていて、困っていました。皆さんの周りにも、何度言っても忘れ物をしてくる人はいませんか。そういう人も、校長先生と同じように、実は自分もとても困っているのです。

もし、「なんで忘れるの」、「昨日も言ったじゃない」って言わないで、「こうしよう」って言ってくれたら、校長先生と同じようにきっとすごく嬉しいと思います。

お話を終わります。

10月17日(月)

先日、10月号の学校便りを配りました。そこでは、6年生と5年生の学力テストの結果と、スポーツテストの結果を詳しく説明しました。おうちの方から何かお話を聞いた人がいるかもしれません。

今日は学力テストから判ったことの話をします。簡単に言うと、大一小の学力、考える力はこの一年で大きく伸びている、ということがわかりました。

学力、というのは勉強が得意、勉強が上手、覚えるのが得意、というだけのことではありません。特に大切なのは知っていることを元にして工夫をしたり、わからないことを元にして調べたり比べたりして考えを深める力です。大一小の子供は、知識の量は、全国の子供たちより少し少ない部分があります。だけれども、それを使って考える力が、全国の子供たちよりずっと高いのです。

つまり、みなさんは先生方や友達と意見を交換し、自分で考える勉強をしてきた、ということです。これは素晴らしいことです。

皆さんの勉強は、クイズ番組のように答をたくさん知ってる人が優勝する、というものではありません。小学校で学んだ知識、それを使って考える力は、みなさんが一人の大人になったときに、自分で何をどうするかを考えて決める力です。誰かと比べて優れているとか劣っているとかは、全く関係ありません。皆さんの人生を決めるのは皆さん自身、あなた本人だけですから、みなさん自身が考えて決める力を持っている、ということが大切なのです。

誰かより優れていようが劣っていようが、そんなことはどうでもいいのです。自分が、自分のピンチやチャンスに考えることができる、それが大切です。そして、この力は鍛えなければ育ちません。つまり、皆さんは学校生活を送る中で、皆さん自身が取り組み、成長していると言うことなのです。

あー。そんなこと言われても、ぼくわたしはそんなに勉強得意じゃないしなあ。と思う人がいるかもしれません。もう一度言います。勉強が得意か不得意かは、誰かと比べて、ということですよね。誰かは隣にいるお友達かな。でもね、10年後、皆さんが大人になったときに、隣にその人はいません。全然別の人がいます。また10年後には違う人がいます。ずーっと一緒にいるのは、自分だけです。だから、比べるとしたら、自分と比べてご覧なさい。1年前の自分にできなかったことができるようになっていれば、それは成長、伸びたと言うことです。昨日より今日、今日より明日を目指せば良い。

あー、でもぼくわたし、去年も60点だったし、今年も60点だから変わらないや、という人もいるかもしれませんね。でもね。去年3年生だった人の60点と四年の60点とではどちらの勉強が難しいでしょう。ね。難しいことができるようになっているのですよ。

考えることを諦めない。だって未来は必ずやってくるのですから。大一小で学んでいる多くの子供たちは、去年の自分と比べて、しっかりと伸びています。その努力を続けましょう。

10月24日(月) もうすぐ学芸会

もうすぐ学芸会です。劇をやってみせることを演劇、やってみせる人のことを役者といいます。俳優ということもあります。それぞれの学年で、一生懸命に練習に取り組んでいますね。でも、皆さんのほとんどは、大きくなって役者になろうと思っていないはずです。ではなぜ学校で演劇に取り組むのでしょう。

学芸会に取り組むにあたって、校長先生が、先生方にお願いした二つのめあてがあります。一つ目は、表現する活動を通して、みなさんが工夫したり協力したりする経験をすることです。人に伝えるためにはどうしたらいいのだろう、声を大きくする、動きをわかりやすくする、衣装や小道具を工夫する。伝える工夫をする。

それぞれの役割を決める。自分の仕事をやり遂げる。友達とやるべきことを分け合って力を合わせる。どれも、これからみなさんが大きくなる中で、大切にしなければならないことです。どんな学校、どんな仕事をするにしても、絶対に必要なことです。

劇を上手に演じるのはプロの俳優さんのすることです。プロではない皆さんが劇を演じるのは、上手に演じて、上手な劇をすることではありません。考えて、自分でつくることです。どうすればもっと良くなるか工夫をすることです。その工夫し、努力し、成長する姿を保護者の方に見ていただきます。

いいですか。先生に言われたとおりにやる、のではありません。先生方はアドバイスをしてくれます。けれど、舞台に立つのは皆さん自身、これでいいかどうかを決めるのは皆さん自身。大変でも苦しくても、良いものをつくろうと頑張る力を育ててください。

二つ目のめあてです。学芸会では演じるだけでなく、見合う、という活動があります。下学年の人は上学年の動きや言葉をしっかりと見てください。そして、大きくなる、というのはこういうことができるようになることなんだ、こういうことができるように大きくなろう、と受け止めてください。

上学年の人は下学年の取り組みを見て、良さを見つけてください。上手い下手だけで言ったら、それは上学年の人が上手です。でも、上手い下手だけで言ったら、プロの役者さんに任せよう、ということになります。たとえ下学年の人であっても、努力する姿、工夫する心は上学年の人と変わりません。身体が小さくても力が弱くても努力する人の姿から、学べるものはたくさんあります。学べる人が、心の大きな人です。

最後に、今年の学芸会は開校70周年の記念の学芸会です。いつから学芸会という取り組みがあったのかわかりませんが、何十年も続いていることだけは確かです。きっとお越しになるお客様は、自分たちが小さかった頃、自分たちが演じていた頃のことを思い出しながらご覧になるでしょう。

10年前20年前の大一小の子供たちががんばってきた先に、いまの大一小があります。今の子供たちも同じように頑張っているよ、今の子供たちは、大一小の良さをずっと伸ばしているよ、と見ていただきましょう。大一小の子供たちが、未来を創るのです。