3.ビオトープの四季の移り変わり

1.池

   昨年度は、スイレン、アサザ、ヒシ、ガマ、ヨシなどの水生植物を植えた。それぞれわずかに増えるのみだった。

 今年度は、ヒシを除きだいぶ増えた。スイレン、アサザは水面を覆い尽くし、ガマは池の最深部にまで進出する勢いであった。ヒシはスイレン、アサザの成長に阻まれ、姿が見られなくなった。ヨシは岸辺を取り囲むように数を増やした。浅い順にヨシ、ガマ、アサザ、スイレンという棲み分けが見られるようになった。

 エコトーンでは、ワサビが消え、ミツバが根付いた。また、カナダモやアオミドロも増えた。エコトーン以外には藻が少ない。
 動物では、アメンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、アキアカネ、アジアイトトンボが見られる。シオカラトンボは縄張り意識が強く、他のトンボがやってくると必死に追い払おうとする。イトトンボはスイレンなどの水草の上で交尾しながら、水草の葉の裏に尻を伸ばし産卵する。種類により産卵の仕方の違いが見られる。アメンボは水面に落ちた昆虫などの動物に群がり、体液を吸い取る。池の中には、絶滅危惧種に指定されたクロメダカやタナゴ、フナ、ゲンゴロウ、ドジョウ、タニシ、モノアラガイなどがいる。メダカは生息数を大きく増やした。モノアラガイは、自然に発生し、個体数を増やしている。田んぼに比べると少なく、エコトーンに集中している。これは、深さによる水温の違いによるものである。

 池は、深さの違いによる棲み分け、競争、生態、食物連鎖、適応の様子を分かりやすく見ることのできる場である。

○:それぞれの季節で確認できたもの

   生き物   春   夏   秋   冬       備考
トキワハゼ        
オオイヌノフグリ        
ヒエ   ○( 実 )      
ガマ ○( 穂 ) ○( 実 )   穂は7/5,実は10/20
ヨシ ○( 穂 ) ○( 実 )    
スイレン ○(紅色) ○( 花 )   開花は5/31
アサザ ○(紅色) ○( 花 )   開花は5/31
ヒシ        最も深い箇所に確認
ワサビ       夏以降消滅
セリ ○      
オオバコ ○( 花 )    
シロザ    
オニノゲシ        
ヤナギ 湿地を好む
ハンノキ ○( 実 ) 湿地を好む
アメンボ    
ゲンゴロウ        
シオカラトンボ        
オオシオカラトンボ        
アキアカネ        
アジアイトトンボ        
クロメダカ 絶滅危惧種
タナゴ 説滅危惧種
フナ  
ドジョウ  
タニシ  
モノアラガイ