YouTube ChannelじがくのススメNo.35チリ編をご覧ください!

第150回卒業式

画像1 画像1
 式辞

「強くなることはないです。弱い自分に苦しむことが大事なことなんです。」
これは、ミュージシャンでありコメディアンであり、俳優であった、いかりや長介さんの名言として語り継がれる言葉です。いかりやさんはザ・ドリフターズという音楽バンドのリーダーで、1966年、イギリスのザ・ビートルズという当時、世界で最も人気のあった音楽バンドが初来日し、日本武道館でコンサートを初めて行ったとき、その前座を務めました。その後、「8時だよ!全員集合」というテレビ番組で日本中の人気者になりました。当時、小学生だった私も夢中になって、その番組を見たものです。今からちょうど3年前、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった志村けんさんも、このバンドの一員でした。
 では、いかりやさんの言葉を続けましょう。
「人間は元々、弱い生き物なんです。それなのに心の苦しみから逃れようとして、強くなろうとする。強くなるということは鈍くなるということ。痛みに鈍感になる。自分の痛みに鈍感になると他人の痛みにも鈍感になる。自分が強いと錯覚した人間は他人を攻撃する。痛みに鈍感になり優しさを失う。
いいんですよ、弱いまんまで。弱い自分と向き合い、それを大事になさい。人間は弱いままでいいんです。弱い者が手を取り合い、生きていく社会こそが素晴らしい。」

 私も強い人間になりたい、と考えてきた一人です。自分の弱い部分を他人には見られたくない、と人一倍、思って生きてきたような気がします。しかし、「弱い者が手を取り合い、生きていく社会こそが素晴らしい。」という、いかりやさんの言葉に目からうろこが剥がれ落ちるような気持ちになりました。なぜなら、この地球に住むすべての人類が争うことなく平和に生きていくことができる究極の真理がここにあると感じたからです。

 今日、3月24日でロシアがウクライナに軍事侵攻して1年と1か月が経ちます。これまで、お昼のミート講話で、または「YouTube Channelじがくのススメ」で、このことについて話してきましたが、君たちは何を感じてきましたか。
 爆音に怯え、涙を流すウクライナの幼い女の子の姿を初めてニュースで見た時、深い悲しみと強い怒りを私は覚えました。しかし、そのウクライナ情勢が毎日のように報道されると、当初の悲しみや怒りは徐々に薄れ、他のニュースと同じ感覚で、聞き流している自分がいることに私は気づきました。
 皆さんはどうですか。遠い国で起こっていること、自分たちの日常にはあまり関係のないこと、ですか。それは仕方のないことなのかもしれません。友達と話に夢中になっているとき、美味しい給食を食べているとき、ウクライナの人々の痛みを私たちは忘れています。
 しかし、時の流れは速いです。6年前に小学校に入学した君たちがもうここで卒業します。そして、6年後には君たちは成人となり、選挙権も得ることになります。国の、いや世界の行く末を左右する意志決定をする大人の一人となるのです。であれば、今のうちから、痛みを感じている人々へ思いを馳せる、ほんのちょっとの時間がもてる人になって欲しいと思うのです。
 今年度も、この石神井西小学校ではユニセフ募金をしましたね。例年の倍以上の10万円を超えるお金が集まりました。これは、ここにいる卒業生と、ここにいる5年生をはじめとする在校生に、痛みを感じている人々へ思いを馳せることができる人が多く存在することの証だと思います。

 西暦2000年、21世紀は科学技術が著しく発達した社会になると予測されていました。実際、文部科学省のGIGAスクール構想で、一人一台のタブレット端末が配備され、学校の授業風景も大きく変化しました。そして、新聞や書籍がなくとも、タブレット上で膨大な情報を得ることができ、人前で発言することが苦手でも、タブレット上で意見を表明することができるようになりました。ところが、フェイクニュースに翻弄され、匿名の誹謗中傷を拡散するという人間の愚かさが露呈される社会になったことも事実です。

 君たちの未来にはどんな社会が待っているのか、それは君たち一人一人にかかっています。そのことをしっかりと自覚しながら、中学校生活を送って欲しいと心から願っています。

    令和5年3月24日 練馬区立石神井西小学校長 青山直志
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
学校行事
4/5 新6年前日登校
4/6 始業式・入学式

お知らせ

学校だより

保健だより

給食だより

学年だより

献立表

年間行事

学校経営方針

授業改善プラン

学力向上計画

学校評価

特別支援学級

緊急連絡

PTA退会届