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第151回卒業式

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 WBCワールド・ベースボール・クラシック、準決勝、対メキシコ戦。一点ビハインドの九回裏。先頭打者の大谷昇平は初球を捉え、右中間に二塁打。続く吉田正尚はフォアボールでノーアウト一、二塁。ここで村神様こと村上宗隆。日本プロ野球史上最年少で三冠王を獲得するも、このWBCでは不振に喘いでいました。野球のセオリーからすると、不振の村上を下ろし、送りバントでワンアウト二、三塁。そして二塁ランナーを脚のスペシャリスト周東右京に。次は当たっている岡本和真、国際大会にめっぽう強い山田哲人と続きます。これで十分、逆転サヨナラのシナリオを描けたのではないかと思います。しかし、栗山英樹監督はそうしなかった。それはなぜか。
 栗山英樹さんは私の大学の先輩にあたります。大学時代に面識はありませんでしたが、昨年秋、お会いする機会を得ました。不振の村上選手をずっと四番に据え、あの場面でも村上選手を変えることをしなかったのはなぜなのでしょうか、と尋ねると、「いやー、勝負は時の運ですよ。」と言葉を濁され、照れたような表情をされました。
 栗山英樹さんは大学卒業後は教師になることを決意しつつ、それでも野球を諦めたくないと考えていました。そして、プロ野球のヤクルトスワローズに入団し、ゴールデングラブ賞を獲得するほどの選手に成長しました。しかし、持病のメニエール病が悪化し、七年の現役生活に終止符を打ちます。その後、スポーツキャスター、大学教授を経て、日本ハムファイターズの監督に就任。一年目でリーグ優勝、2016年には日本一に導いています。そして、今回のWBCで侍ジャパンを世界一へ。私たちに多くの感動を与えてくれました。
 さて、先ほどの疑問、栗山監督はなぜ、村上選手を使い続けたのか。栗山監督の胸中は計り知れませんが、私はこのように推察します。目前の勝利よりも、村上選手を日本の四番バッターに育てることを優先したのではないか。日本プロ野球史上最年少で三冠王を獲得した村上選手が今後、不動の四番バッターに育たなければ、侍ジャパンの未来はない、と。あの究極の場面で、そのような決断をした栗山さんは偉大な監督であり、偉大な先生であったのだと思います。
 人を育てる、と言ってすぐに思い浮かぶのは学校の先生ですよね。君たちを小学校の六年間、育ててくれた多くの先生方には心からの感謝の気持ちをもってもらいたいと思いますが、君たちは他にもいろいろな人々から育てられてきたことは分かりますか。家族や親戚は勿論ですが、ねりっこクラブの指導員やスポーツクラブのコーチなど、そして近所のおじさん、おばさんたちにも育てられてきました。つまり、人は人を育てるという機能を生まれながらに持ち合わせていると言えます。そうすると、君たちもすでに人を育てているのです。先月、この体育館で行われた六年生を送る会、私はこう話しましたよね。君たちが想像するより遥かに、ここにいる五年生をはじめとする下級生は、君たちに憧れ、君たちのようになりたいと考えているのだ、と。今日、ここ石神井西小学校を卒業する君たちには、このことを強く意識してもらいたいと思います。同級生の中だけで生きていると、時に我儘で身勝手な行動や言動が出てきがちです。そんな時、君たちより後に生まれてきた下級生を意識することで、自らの行動や言動を律することができるのではないかと思うのです。先生とは先に生まれると書きますよね。君たちはある場面では既に、先生として機能しているということです。
 先週の火曜日、石神井西中学校の卒業式に参列してきました。この日は皆、式服を着ていましたが、普段の日は一般的な制服ではなく、自由な服装で学校生活を送っていることを皆さんも知っているでしょう。ここに至るまでには、生徒会を中心に様々な議論がなされたことと推察します。自由を獲得するためには自らを律することが最も重要なこととなります。自由とは決して、我儘で身勝手であることではありません。石神井西中学校には、学校の先生方の手を一切借りず、生徒だけで自主運営する運動会を実現することに象徴される自由と自治の精神が校風として根付いています。進学先が違う人も、進学先それぞれの自由と自治の精神があるはずです。この四月から是非、その精神を自ら学びとろうとする姿勢を強くもってくれることを私は心から願っています。
 さあ、いよいよ卒業ですね。コロナ禍で不自由なことも多かった小学校生活でしたが、移動教室や宿泊学習は本当に楽しかった。お風呂でイルカやシャチのショーごっこをしましたね。わくわく学級の六人が卒業してしまうこと、本当に寂しく思います。ただ、別れは再びの出会いの始まりです。たまには、君たちの母校である石神井西小学校を訪れ、その成長した姿を見せてください。

令和六年三月二十五日 練馬区立石神井西小学校長 青山直志
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