卒業式式辞![]() ![]() その直前の11月は学芸会。ただでさえ忙しい学芸会の準備や練習に移動教室の準備が加わり、目の回るような忙しさだったと思います。しかし、君たちは学級担任の先生とよく連携して、「夢から覚めた夢」でこの会場を感動の渦にしました。遡って、昨年六月の運動会、前日の大雨で校庭は湖のようになりましたが、次の日、運動会は奇跡的に実施でき、君たちは5年生と強い信頼関係を築き、組体操「This is me! 咲き誇れ!僕らの新時代」で観る者を魅了しました。 こうやって振り返ってみると、君たちの小学校最後の一年は受難の年でありました。しかし、それにへこたれることなく、常に前向きに取り組んだその時々の君たちの姿に私は大きな成長を感じていました。今日この卒業式も新型コロナウイルスの影響で、ご来賓や5年生が不在という非常事態となっていますが、君たちのその姿が既に、この卒業式を一生の思い出に残る素晴らしいものにしてくれていることに私はとても嬉しく思っています。 卒業生の皆さん、卒業おめでとう。今そこに座る君たちの姿はとても眩しく輝いて見えます。よくぞここまで成長しましたね。思い返してみてください、一年生のときを。今では当たり前のことも、その当時は出来なかったことが沢山あったのではないでしょうか。学習のことは勿論なのですが、心のことです。入学式、じっと座っていることが出来ず、もぞもぞ身体を動かしてしまうということがきっとあったと思います。しかし、今では周りの状況をみて自分を律する「我慢」ということが出来るようになりました。腹が立ってもぐっと我慢して、喧嘩ましてや暴力に至るような喧嘩になることを避けることができるようになったこと。心の中で思ったことをそのまま言葉にすることを我慢して、相手が大きく傷つくことを避けることができるようになったこと。これが心の成長であり、他人を思いやることに繋がると私は考えます。赤ちゃんはお腹がすいた、おむつの中が気持ち悪い、暑い寒い等の不快な感情を泣くことでしかアピールできません。そんな時代が誰しもありました。それを考えると私たちの心は随分と我慢できるように成長し、思いやりの気持ちを獲得していることに気付きます。 しかし、君たちが卒業する今、世界情勢を見てみると、我慢の出来ない人々の思いやりのない行動や言動が目立ちます。今回の新型コロナウイルスの世界的な蔓延には、世界各国が一致団結して、その撲滅に邁進していかなければならないはずなのに、他国の感染対策の不十分さを中傷することに終始するリーダーのなんと多いことか。そのリーダーを選ぶのは私たち一般市民であるとすれば、私たち一人一人にもその責任はあると考えなければなりません。現実として、根拠のないフェイクニュースに振り回され、トイレットペーパーを暴力を伴って奪い合う映像を君たちも目にしたと思います。先行きの見えない不安は、人を人種差別や宗教差別に追い立てます。どこそこでコロナウイルスの陽性反応が出たとなれば、その集団を一括りにして、SNS上でまるでばい菌扱いするようなコメントを寄せるということは私たちの周りにもあるであろうことは容易に想像できます。 今、社会全体が心を成長させるどころか、赤ちゃん返り、退化とさえ見える現象が起こる中、君たちは一つ一つ確実に心を成長させ、O24Noteで紹介したSDGsの17の目標達成による世界平和実現を目指して欲しいと私は心から願っています。 さて、保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。冒頭にもお話しましたように、今日この卒業式をこのように縮減する形で実施することは、学校管理者として非常に遺憾であります。しかし、保護者の皆様から見える卒業生の後ろ姿は非常に立派ではありませんか。きっとこの子たちは、様々な苦難に常に前向きに取り組み、乗り越えていってくれるものと期待しています。中学に入学しても、コロナウイルスとの闘いはまだ続くと思いますが、これまでと変わらず、お子様を励まし、導いていただきたいと思います。 最後になりましたが、これまで、本校の教育活動に多大なるご支援とご協力をいただきましたこと、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。 それでは、卒業生の皆さんの益々の活躍を祈念して、式辞といたします。 令和2年3月25日 練馬区立大泉西小学校長 青山直志 |
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